最近、テレビや雑誌などで「糖質制限」「糖質オフ」などと言った食事療法を見られるかと思います。
普段取る食事から、小麦やお米といった炭水化物、芋などの穀類、砂糖の含まれる食事を抜いて、
食事する事を「糖質制限」と言います。
今回はその「糖質制限」について簡単に説明したいと思います。
糖質制限で身体にどんな変化が訪れるの?
普段主食としている、パンやご飯、麺類は身体の中で消化され、最終的にはブドウ糖となって吸収し肝臓へ送られます。
その後、肝臓から必要な分だけブドウ糖をエネルギーに変えて全身の細胞に栄養を送ります。
また、余ったブドウ糖はグリコーゲンと呼ばれる物質に変わり、肝臓に溜め込まれます。
溜め込む量、時間にも限度がある為、それ以上の物は中性脂肪となって溜め込まれます。
溜め込んでおく時間も約5~6時間ほどといわれ、徐々になくなり食事の間隔が空いたり、睡眠などで、送り込むブドウ糖がなくなった場合は、
肝臓からタンパク質を分解してたミノ酸をからブドウ糖を作り、エネルギー源とします。(糖新生)
炭水化物をとらず、肉や魚、野菜キノコ類などを中心とした食事を続けて、肝臓に溜め込まれたブドウ糖を完全に使いきった状態になると、
新たに、ブドウ糖に変わるエネルギーとして、体内にある脂肪から「ケトン体」を作ります。
この「ケトン体」こそが糖質制限を行う上で重要な役割を果たしていくのです。
ここで注意が必要なのは、「ケトン体」は体内にある糖質を使いきらないと、なかなか作られない事です。
ブドウ糖と「ケトン体」の両方が作られた場合、ブドウ糖を優先的にエネルギーと使い、「ケトン体」を使わないからです。
その為、なるべく糖質を制限し、「ケトン体」を作らせる身体にしていく事が糖質制限の目的となります。
ケトン体をエネルギー源とするとどうなるのか?
糖質制限により、体内のエネルギー源を糖質からケトン体に切り替えて、ケトン体を使う体質に変えていくのが目的とされておりますが、
その際、以下のような効果があると言われています。
- アンチエイジング効果(長寿遺伝子の活性、抗酸化)
- いろいろな病気の予防(抗酸化作用により、体内の活性酸素を除去)
- 体力の持続(ケトン体は常に燃料を作り続ける為、燃料切れが少ない)
- 精神的安定(血糖値の変動による精神的、感情的な変動がなくなる)
- 認知症の予防(ケトン体の血中濃度上昇による認知機能改善が上がる)
- 疲れにくい身体になる(糖質の燃料切れと違い、ケトン体はエネルギ不足になりにくい)
必ずしも、同じ効果が出るとは言えませんが、わかりやすい例として、このような効果が期待できるようです。
また、新生児や、母体の中にいる胎児は、ケトン体をエネルギー源としていると言われています。
それは、脳の神経が最も発達している時期には、ケトン体をエネルギーとし、発達がさらに進むと、ブドウ糖をエネルギー源に変えるそうです。
新生児は初乳に含まれる栄養素にケトン体の原料になる、中鎖脂肪酸が多量に含まれているからです。
このように、私たちの身体は最初、ケトン体をエネルギーとしていた状態であり、脳の発達や身体の成長に伴い、食事から糖質を摂取してエネルギーとしているのです。
糖質制限はこの、胎児や新生児のような、ケトン体をエネルギーとした身体作りをする為の方法ではないのかと思います。
ただ、過剰な糖質制限は逆に栄養不足を招いたり、ストレスを溜め込み、身体を壊す恐れもある為、ほどほどに行うのが良いかと思いますので、
くれぐれ、体調を崩さないようにお気をつけください!